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ゲーム業界の今昔物語 ~そして、アフターデジタルへ

出典:Wikipedia、任天堂、Final Fantasy

先日、企業のプロモーション関連のデザイン、制作を生業にしている友人と情報交換をした。

私より5歳年下なのだが、話をしているうちに、この年齢差を非常に大きく感じることがあった。

それは、家庭用ゲーム機の登場の時期にどの年代でいたか、ということである。

彼との話から、ゲーム業界の今と昔、そして近い将来について考えてみた。

目次

ゲーム業界の動向~今昔物語?

ファミコンの登場

ファミコンの登場

1983年に任天堂から「ファミリーコンピュータ(ファミコン)」が登場した。
当時主流であったアーケードゲームを、家庭でも遜色なく楽しむことが出来ることを目指して作られていた。
その頃私は、大学一年生であった。学生時代の頃は、ファミレスやゲーセンで過ごす時間が当たり前のようにあった。
しかし、この『ファミコン』の登場で当時の10代の世代の生活感は大きく変わり始めた。
私自身は、ファミコンに興味がなかったので特に縁がなかったが、丁度その頃アルバイトをしていた家庭教師先の高校生の部屋には、真っ先にこのファミコンが置いてあり、彼が夢中になって興じていたことを覚えている。

ハード主体のゲーム機

私が社会人となり少ししたころ(1986年頃)、NECのPC-8800を譲り受け、DOS画面でゲームプログラミングに挑戦したことがあった。
本に記載してあるコードを頑張って打ち込んでみたが、バグがあったらしく、画面表示が上手くいかず、そのまま放置してしまった。
そのころPCの世界では、Motorola社の68000系、intel社のX86系のCPUが市場を分けていた。
そして、PCだけではなく、当時Apple社がこのMotorola社の68000系のCPUを搭載したゲーム機を開発し、NECや松下電器がその製造に関わっていた。
しかしそれはあっという間に終焉を迎えた。
なぜなら、ソニーの「Play Station」、セガの「セガ・サターン」が登場したからだ。
これを機に日本国内でのゲーム機市場が急速に拡大し、レッドオーシャン化していった。

マリオの登場

当時の日本のモノづくりにおいて、ハード優先の空気感が強く、ソフトウェアの優先順位は低かった。
これに最初から気づいていた任天堂は、大ヒットの『マリオ』を有していた。
また、ソニーはPlay Stationのリリースに合わせて、ソニーコンピュータエンタテイメントなる子会社を設立し、ゲームコンテンツの開発やソフト販売の基盤を作り始めた。
セガも任天堂と同様に『ソニック』を生み、その人気は『マリオ』と2分していた。
任天堂、ソニー、セガの3社はそれぞれ独自性を持ちつつ進化していく。
さらに任天堂は、自社の独自ハードをスーパーファミコンに進化させ、その後、携帯型ゲーム機「ゲームボーイ」をリリースし、更に若年層を虜にする。(ある意味、携帯端末のはじまりかも・・・)

ロールプレイングゲームのFinal Fantasy

1980年代後半、ファミリーコンピュータでプレイされていたFinal Fantasyは、1997年にソニーのPlay Stationでプレイできるようになり、これにより、ソニーはロールプレイングゲームという領域でのポジションを確立する。
ソニーは、『目指せ100万台!』を掲げ、そのハードのポテンシャルを追求していった。
Final Fantasyが市場で一つの決着をつけたのは、その画質の表現力であり、今でいう3Dの走りでもあった。
PCに搭載されていたCPUは、8→16→32ビットと推移していたが、この頃になるとパフォーマンスが不足し、任天堂、ソニー、セガはそろって64ビットのCPUを独自で開発し、それらを搭載していた。
セガ・サターンの後継機である『ドリームキャスト』は、1998年に発売されたが、これを最後に市場から姿を消していった。

ゲーム業界の新たな構図

様々なゲーム機器

ハードからソフト

2000年に入ると、PlayStation2が独走を始めたかに見えた。
しかしながらそれをMicrosoftが追従し始め、「X-BOX」が登場する。
すると、ハード主導から「ゲームコンテンツ」そのものに趣が置かれるようになる。
実は、この裏側で1990年代に入って、アーケードゲームの雄であったセガとナムコは、シミュレーターの開発を手掛けていた。
一般の自動車運転用から始まり、航空機用のパイロット訓練用などである。
更に官公庁からの受託にて、非公開のソフトウェアの開発もしていた。
恐らくは、このころの開発者が動く(転職する)ことによって、ソフトウェアに弾力性のある市場が生まれ、「コンテンツ」の価値が上がる要因の一つになっていったと思われる。
そして、ソフトウェアの出来栄えがハードウェアの売れる一番の要因となり、市場の占有率を牽引することとなっていく。
ソフトウェアの出来栄えは、ゲームそのもののシナリオ(その裏側にあるコンセプトや背景も含む)、キャラクター、そして映像表現の品質で決まる。
1983年頃に登場したゲームは、単純で、娯楽性が強かった。
しかし2000年に入ると、3Dによる三次元的な深みのある表現やそのゲームの世界観などが注目される。
その中で動くキャラクターも、メインだけではなくその周辺人物も生き生きと描かれ、また、キャラクターが進化したり、多様化したり、何か人格的なものを持ち、ユーザーの想像力を湧きあがらせるようなものも出てきた。
既にご周知の「バイオハザード」などは映画でも大ヒットとなった。

一方、ハードウェアは消費者にとってはその世界観に入る為の重要なツールとなった。
ゲームそのものの品質が上がるということは、膨大なコード(データ)量となり、これをいかに早く処理して画面で見せるか、が技術的課題の一つとなっていった。
前述のCPUメーカーだけではなく、専用のCPUを作るファブレス(生産工場の無い)メーカーも登場してきた。
そして、その開発手法はソフトウェアと三位一体となって急速に進化していった。

ゲームを携帯電話で

その間日本市場においては携帯電話の普及が進み、画面の色彩やサイズがどんどん進化していく。
そして、かつての1980年代のゲームであれば、「ちょいゲー」として動かすこともできるようになった。
これは、携帯電話の着メロやショートメールといった機能とは別の価値を生み始めた。
最初は、携帯電話によるインターネットアクセス(集客)のフックや滞在時間の引き延ばしの為にノベルティ的に登場したが、いつの間にか、ゲームそのものに価値が生まれ、消費需要が派生し、独立したビジネスとなった。
数年前にヒットした任天堂のポケモンGoなどは、まさにそれである(ポケモンは「ゲームボーイ」の派生)。
日本でのスマートフォンは、2006年頃から市場で開花し始めた(最初の登場は、1994年頃)。
これにより、この「ちょいゲー」は本格的に携帯端末の中での世界を確立し始めた。

そしてYouTubeへ?!

この市場の変化に伴い、市場のプレーヤーも変化し始めている。そしてそれは、消費者の動きと同期している。
家庭用ゲーム機を生んだ任天堂は、ハード・ソフトともに強い独自性を持ち、新たな市場を生み成長し続けた。
しかし実は、その殆どが日本市場での消費であった。特に、Nintendo Switch機は日本でしか売れないとまで言われている。
理由は、携帯ゲーム機を持って移動しながらゲームをする行動パターンが日本特有のものであり、日本人は通勤・通学という「移動時間」が多くある為である。
現在このNintendo Switchの利用状況において、非常に興味深いことを耳にした。
それは、利用者の75%がYouTubeにアクセスしているということである。
利用者は、スマートフォンで閲覧したサイトのWeb広告やメルマガ等ではなく、YouTubeから情報を得て、コンテンツを購入している、というのだ。
そのため任天堂は、YouTube上に絞ってゲームコンテンツ動画やプロモーション広告を展開しているそうである。
この延長線上には、当然日本以外からのアクセスもある。そしてその先では何が起こっているか・・・
その広がりを考えると、全く想像のつかない状況となっていた。

マリオが地球を救う?!

マリオが地球を救う?!

ゲームのキャラクター

さらに聞いた話では、ゲーム業界では、周知の事実ということらしいがApple社とGoogle社は、任天堂に「マリオ」そのもののキャラクターの権利を売って欲しいと交渉をしているとの事。
その金額は、両社とも『いくらでも構わない』との話。
かつて、Microsoftのビル・ゲイツ氏がサンフランシスコのサンリオショップに連日通い、全ての商品を購入した結果、彼は当時(1994年頃)、サンリオにハローキティのキャラクターを6,000憶円で交渉したとも言われている。
当時は、キャラクターの権利そのものに高額な価値を付けたことに驚嘆されたものだが、サンリオはその申し出を断った。
その後、資産価値としてのハローキティを試算したところ、時価総額が1.5兆円という話を聞いたことがある。
時代が変わり、価値観の変化や消費者の行動パターンが大きく変化した結果、ゲームキャラクターがとてつもない状況になっている。
「マリオ」がターゲットとされている理由は、全世界での認知度があり、このキャラクター権利によって生み出される価値が図り知れないから、ということだろうか。

ゲームとアフターデジタル

この状況で、ソニーもMicrosoftも任天堂に対して、『どうか売らないで欲しい』と伝えているらしい。
その裏側には、先の2社のどちらかが「マリオ」を持つことによって、今の業界構図が崩壊し、太刀打ちできなくなるから、との見方まである。
更には、この「マリオ」が、世界を救うかもしれない話にまで発展している。
国家間の紛争において、戦争は決して許されるものではないが、この「マリオ」は核爆弾並みの経済効果の威力を有しているという見方もあるらしい。
これによって、急速に伸びている中国経済までも抑え込める可能性があるかもしれないという。
著作権に関しては一番懸念される国でもあるが、ゲーム業界における「マリオ」の存在は、鉄壁ともいえる強さがあると考えられる。
今後、デジタルネイティブが当たり前の市場になることは誰もが感じているが、彼ら・彼女らが現代の変化の多い環境の中でデジタルとかリアルとか全く関係ない感性を持ち、ニューノーマルを形成していくのであろうか。

まさに『マリオが、地球を救う!?』日が来るかもしれない・・・・
日本のモノ作りは、漫画・アニメなど海外からの評価も高いが、真のアフターデジタルを実現していく先駆者は、ゲーム業界におけるクリエイターやプログラマー、かもしれない。

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